musician's talk ウクレレを愛するミュージシャンへのインタビュー
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Vol.3:
日本ハワイ化計画!


sekiguchi

ハワイへお返ししたい

cairo
ハワイ・オアフ島の幼稚園にて。
 
―――現在はハワイのいたるところでカマカを目にするようになりましたね。小学校でも子供たちがカマカを弾いていました。
「今は街でもよく見るし、学校にはカマカがたくさんあったりするんですよ。でも、学校にウクレレはあっても教える人がいない、という状況がハワイにはあるんです。公立の学校は予算が少ないので、音楽や体育の授業は削られているんです」

――音楽や体育は課外授業という扱いですよね。でもハワイの人々はみんなウクレレを弾ける、というイメージがありますが。
「昔はそうだったんだと思います。たとえばお父さんやお母さんからウクレレを習って、文化が引き継がれていたんですが、最近は違うみたいですよね」

――難しい状況ですね……。先日ハワイに行ったとき、ウクレレを教えている幼稚園を訪問したんですけど、子供たちがお昼寝をしている間に、別の部屋で先生がこっそりウクレレを習っているんですよ。習ったことをすぐに子供たちに教えているんです。
「ハワイでウクレレ・ファウンデーション・オブ・ハワイ(※1)というNPOを立ち上げたんですが、その活動のひとつとして、公立学校にウクレレの講師を派遣していきたいと思っているんです。“ハワイのハワイ化”みたいな感じですけどね(笑)。ウクレレ・ファウンデーションにミュージシャンがたくさん参加してくれれば、そういったことが可能になると思うんです。ファウンデーションの最終目標としてミュージアムの設立というのがあるんですが、課外授業で子供たちがフィールドワークとしてそこを訪れると、ウクレレがあり、教えてくれる人もいて、ウクレレの歴史も学べるという場所にしたいなと思うんです」


――歴史を途切れさせないことは重要ですよね。それをハワイの人ではなく、日本人の関口さんがやろうとしているのがすごいですよ。ハワイから影響を受けた関口さんがそれをハワイに返すんですね。
「ボクの子供がハワイの公立学校に通っていたこともあるし、ボクはそれだけウクレレに恩恵を受けたつもりでいるので、お返ししたいという気持ちはあります。日本にももっとウクレレを普及させたいですしね」


日本一ゆる〜いイベント

cairo
ウクレレピクニック2008にて。
 
――ウクレレ・ピクニック(※2)にはたくさんの人が入っていますよね。無料だし、ゆる〜い空気感で、本当にくつろげる素敵なイベントですよね。
「日本の音楽イベントとしては一番ゆるいですよね(笑)」

――ボクたちも昨年初めて協賛してカマカのブースを出したんですが、どこにブースを作ればいいのかスタッフに訪ねたら「う〜ん、だいたいその辺でいいんじゃないですか?」って言われて……(笑)。でもみんなちゃんと無言のルールを守っていて、もう10年もやっているからファンの人もちゃんと立ち位置をわかっているんですよね。すごい企画だなと思いました。
「10年やってきて、なんとなくああいう形になったんです」

cairo
ウクレレピクニック2008にて。
――フィナーレも想いを持って集まったミュージシャンたちによる素晴らしい企画でした。
「クリス(カマカ社の製作責任者/ミュージシャン)が素晴らしかったですよ」

――関口さんのご配慮で、フィナーレにクリス・カマカをヴォーカルとして呼んでくださったんです。演奏した曲は何でしたっけ?
「『ハワイ・アロハ』。昔、ハワイのウクレレ・フェスティバルのエンディングで聴いてすごく感動したので、日本でウクレレイベントをやるときには必ず最後に歌いたいと思っていたんです。あの曲はやっぱりハワイの人が歌ってくれるのが一番だろうと思っていたし、ハワイからミュージシャンが来てくれたときに演りたいと思っていたんです。今回クリスが来ると聞いて、ぜひと思ったんです」

cairo
ウクレレピクニック2008にて。
――クリスはイベント中ずっと、フィナーレのことを考えてすごく緊張していましたよ。「おまえはプロのミュージシャンだろ」とか「関口さんが『クリスが一番歌が上手い』って言ってただろ」ってみんなで励ましたんですけど(笑)。


「ハワイ化」の真の意味とは

「ハワイには『ハワイ・アロハ』ように、誰もが歌える歌があって、みんなで歌うんですよ。ハワイの精神性を讃える歌なんですけど、そういう歌は日本にはないですよね。みんなで歌って手をつないで……」

――たしかに、民謡など人々が住んでいる地域や環境にはあったとしても、ひとつのテーマで日本全国の人が同じ歌を歌うことはないですよね。自然なことのはずなのに……。そういうところはハワイならではで、ちょっと嫉妬しちゃいますね。

cairo
日本ハワイ化計画のポスター。

「そう、何かを共有しようという意識がハワイの人たちには強いですよね。でもハワイの知り合いのミュージシャンに『ハワイは本当にいいところだね』って言ったら、『日本もいい国だったよ』って言われたんです。1960年代にアメリカ空軍兵士として佐世保に駐留していた人なんですが、『あたり一面の菜の花畑は美しかったし、どこの土地の人も親切で優しかった』って。そういう言葉を聞いたり、ハワイの人々がみんなで『ハワイ・アロハ』とか『アロハ・オエ』を歌っていたりするのを聴くと、日本は大切なものを失い続けているのではないか? って思うんですよ。日本にもいい時代はあったし、気持ちよく暮らせる環境があったんです。だから、それを取り戻したいという想いもあって、『日本ハワイ化計画』というプロジェクトを立ち上げたんです。いかにもノーテンキでおちゃらけたネーミングですけど」

――日本にハワイの文化を広めよう、というものではなく、「日本の良さを取り戻そう」というプロジェクトなんですね?
「そう、自分が暮らしている土地を気持ちよくしよう、ハワイを真似るのではなくハワイのように気持ちいい環境を日本にも作ろう、という目的です。日本にも日本ならではのいいところはたくさんあって、それを増やしていくことだってできるはずだと思うので」

――なるほど。ハワイの人々は本当にハワイを誇りに思っていますよね。なぜ今の日本人はそうでない人が多いんでしょう?

cairo
ウクレレピクニック2008にて。

「ハワイは歴史的に不運な時代を経験してきたこともあると思うんです。西洋からやってきた白人たちが、もともとあったハワイの文化を否定し、ハワイの土地を買い占め、病気や経済格差が生じたりしたわけですから。ハワイに限らず、世界中のいたるところで行われてきたことですけどね。そんな歴史もあって、自分たちの環境を大切にしようとしてきたのがハワイだと思うんです。ただ、ボクは『ハワイ・アロハ』から「パラダイスはハワイだけじゃない」というインスピレーションをもらった気がするんです。あの歌はハワイを讃えながらも、『私たちは一緒だ』というメッセージが込められているように思うし、それが『アロハの心』じゃないかと思うんです。ハワイ発のアロハが世界に向けられたら、素晴らしいですよね」


※1
ウクレレ・ファウンデーション・オブ・ハワイ

関口さんの「ウクレレ・ミュージアムを作りたい」という夢からスタートしたハワイのNPO法人。ウクレレを通して教育やミュージックセラピー、文化交流の場を作ることなどに焦点を当て、最終的にハワイにウクレレ・ミュージアムの建設を目指している。

※2
ウクレレピクニック

2000年に始まった、日本最大規模のウクレレイベント。アマチュア・プレイヤーから日本とハワイのプロ・ミュージシャンまで出演し、ハワイ・ウクレレ関連のショップも出店する。2009年の10周年を記念して、「ウクレレピクニック2009 in Hawaii」が2月14日にオアフ島ホノルル・カカアコ公園で開催される。(詳細は「Event」ページを参照)






















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