Ukulele Peopleウクレレとともに生きる人へのインタビュー
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hibiscusCDプロデュース秘話



――津和野さんはR.C.以外の制作物もいろいろと作っていますが、CDはどういう経緯で作るようになったんですか?
「最初に作ったCDは『ウクレレビートルズ〜4弦はアイドル〜』です。2003年にパイオニアの制作部方が電話をくださったんです。確か『フラレア』というフラ雑誌が企画編集したCDのプロモーションの話だったんですが、『ぜひうちにも作らせてください』って言ったんです」

――なるほど、紙媒体がCDを作れるんだ、ということを知ったわけですね。
「そうです。ウクレレをキーワードに話を詰めていって作ることになったんです」

――参加アーティストには関口さんもバンバンバザールもいますが、キャスティングは津和野さんがやったんですか?
「ほぼそうです。曲はアーティストたちが選ぶんですが、かぶったりするので、その調整などもしました。このCDはタワーレコードのランキングでも結構上位に入ったんですよ」


――このCDはすごいですよ。企画があってその受け皿もちゃんとあって、よかったですよね。自分でレーベルを作ったりしたら大変ですもんね。
「1回レーベルを作ったことがあったんですよ(笑)。1999年にRolling Coconuts Recordsというレーベルを作ったんです。それでプリンという二人組の女の子のマネージングもしながらCDを出したんです。ウクレレイベントも主催したりしましたね」

――イベントはどんなものでした?

ウクレレ・アフタヌーンの知り合いが手伝ってくれたんです。その人はイベント制作の経験がある人だったんです。八ヶ岳の知り合いのペンションを使わせてもらって、朝はウクレレ散歩をしたり(笑)。出演アーティストはIWAOさん、ぺティ・ブーカ、プリンなどでしたね」

――話を戻しますが、CDの制作は、津和野さんはどんな立場でどんな仕事内容なんですか?
「プロデュースです。音楽プロデュースではなく、全体のプロデュースですね。まずは“ウクレレでビートルズ”という企画とキャスティング、選曲の調整、あとは全体的なイメージ作り。それをR.C.の誌面で紹介するというふうにタイアップできたので、嬉しかったです」

――こういうCDはそれまでなかったですよね。「4弦はアイドル」というキャッチは、コピーライター時代の仕事が活きていますね。
「ダジャレで生きています(笑)」

――その後も次々とCDを出していますが、ビートルズの次は?
「2枚目はジョン・レノンのカバー集『ウクレレ・レノン〜アロハ・トゥ・ザ・ピープル〜』ですね。その次が『ウクレレビートルズ2』で4枚目が『ウクレレジブリ』です。『ウクレレジブリ』は今でもシリーズの中で一番売れているCDですね」


津和野さんがプロデュースしたウクレレCDシリーズ。奥にあるのは大ファンである忌野清志郎さんのサイン入りウクレレで、津和野さんの宝物。
――『ウクレレ・フォース〜スター・ウォーズ ベスト・カバーズ』は?
「スター・ウォーズの映画『エピソード3 シスの復讐』の公開が予定されていたのと、シリーズが昔からずっと好きだったので企画しました。その年の年賀状でジェネオンの担当者の方に『今年はスターウォーズでどうでしょう?』って書いたんですよ。そしたら『じゃあそれやりましょう!!』って。でも原曲が全曲交響曲なんで、アーティストのみなさんは相当大変だったと思います。でもこの中の『帝国のマーチ』がインターネットで“やる気のないダース・ベイダーのテーマ”としてフラッシュアニメ画像を付けてアップされたんです。そしたらそれがすごく流行って、おかげさまでこのCDがすごく売れたんです」

――「また、まいったなぁ〜」って感じですね(笑)。
「いや、そんなことは全然ないんですが(笑)、アーティストのみなさんのご苦労のおかげですごくいいCDが完成したのでよかったです。面白いアレンジをして演奏も素晴らしいという人はそんなに多くないので、いつも限られたアーティストになりますが、人選にはこだわりたいんです」

――次に『ウクレレウルトラマン』に行くわけですね。
「これは以前僕が世田谷の八幡山に住んでいたんですが、『ウクレレジブリ』のイラストが表紙になったR.C.を見た円谷プロダクションの方がメールをくださったんです。『ウクレレジブリがあるならウクレレウルトラマンもありじゃないですか?』って。円谷プロは八幡山にあって、すごく近かったんです。さっそくメールを返して会いに行ったんです」

――『ウクレレ・モーツァルト』はモーツァルトの生誕250周年記念で発売したんですか?
「そうです。これは企画がジェネオンで通らなかったので、ビクターにご提案したら通ったんですよ」

――アーティストは栗コーダーカルテットの近藤研二さんとスウィート・ホリワイアンズの松井朝敬さんの二人ですね。
「松井さんは初めての参加でしたね。近藤さんと松井さんに7曲ずつお願いしました。使用楽器がウクレレだけなんで、オーバーダビングするしかないんですよね。ウクレレ縛りの中でどう表現できるか、という……」

――松井さんは昔の音楽をやっている人だし、ダビング嫌いでしょうに……。
「そうなんですよ。でも最終的にすごくいいものができたので、さすがだなと思います。その後の『ベストヒットUKE』では野村義男さんがたくさん演奏しています。80年代ブームの時期だったので懐かしい曲満載です。マイケル・ジャクソンの『スリラー』もウクレレで弾けちゃいます。オープニングには小林克也さんにナレーションを入れていただきました」


hibiscusマイ・ペースで続けていくこと

――そしてCDをR.C.の誌面で紹介するという展開なんですね。
「そうですね。それにCDの楽譜集も出しているので、いい連結ができていますね。『ウクレレジブリ』を出した後、キヨシ小林さんからドレミ楽譜出版社を紹介していただいて、ウクレレジブリの楽譜集を出版できたんです」


――さらに教則DVDも企画していますよね。関口さんの著書『ウクレレ大図鑑』をはじめとして書籍も企画や編集しているでしょう?
「本の編集は手間がかかりますけど、やっていて面白いですしね。でもそんなに大変じゃないですよ。R.C.の発行が年に4回だけだから、その間に本を作ったり楽譜集を作ったりしています。でも本に取りかかるといつもデザイナーの住友と喧嘩しながらなんです」

――え? 何で喧嘩するんですか?
「デザイン的なこととか、いろいろです」

――一津和野さんは細かいことにうるさいんですか?
住友「クオリティにこだわるということですかね(笑)」

――編集者とデザイナーが机を並べて隣で作業するのって、効率良さそうですけどね……。
住友「効率が良すぎて……。デザインしている最中に横から何か言われると『今やろうと思ってたのに!!』みたいな(笑)」

――途中で文句言われるのは嫌ですよね(笑)。「何よ!」って思っちゃいますね。
住友「ちょっと休憩していると『おまえ、そんな暇あるならやれよ!』とか言われたりしてね(笑)」
「そんなにキツく言ってないですよ(笑)。でも言うべきことは言わないと、ね」


――いつ仲直りするんですか?
住友「校了したらですね」
「終わったら乾杯して飲む、みたいな」



元気な娘さん(左)とそのお友達も一緒に記念ショット。
――(笑)。でも好きなことを仕事にできているのは羨ましいですよ。今後のリリース予定はありますか?
「ジェネオンからシリーズ10作目のCD『ウクレレ手塚治虫』が10月に出ます。この夏にはドレミ楽譜出版社から『ウクレレ・ベンチャーズ』という楽譜集が発売されます。あと関わらせていただいたDVD『曲からマスター! 一歩先行くウクレレ・テクニック』がリットーミュージックから7月10日に発売されました。R.C.の別冊でリットーミュージックから出版されているウクレレ本ばかりを特集した号も7月3日に発行しました。これには『Hula Girl』の楽譜が載っていますが、R.C.にこの曲を載せるのは3回目なんです。過去に掲載したときに問い合わせがすごく多くて、そのバックナンバーがほしいという人がかなり多いので、アレンジを変えてまた載せました。ぜひ手に入れてください」

――津和野さんから見て現在のウクレレ界はどんな感じですか?
「そうとう盛り上がっていますよね。ファンの人が成熟しているというか、上手い人がたくさん出ていますよね。若いアーティストや新しいアーティストがもっと出てくればさらにいいですね」


――新しく企画したいものなどはありますか?
「『ウクレレ・マガジン』が創刊された時期に、自分も大きな判型のマガジンを作りたいと思っていたんですけど、でもそれをやり始めるとR.C.とそのマガジンでがんじがらめになっちゃうので、自分のスタイルに合わないと思ったんです。イレギュラー的にその時々のシーンに合った、そして息の長い商品を作っていくスタイルでずっとやっていけたらいいなと思います。のんきな感じで(笑)」


――ウクレレは津和野さんにとってどんな存在ですか?
「楽器として好きなのはもちろん、いろんな意味でウクレレに救われたので、僕の人生になくてはならないものだし、どこでもドアのように、そこからいろんなところへ行けたり、いろんなものを見ることができる扉のようなものです。ウクレレによって海外にも友達がたくさんできて、人生が広がりました。ホントにウクレレを好きになってよかったです」


津和野さんのお宝拝見

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愛用のウクレレには忌野清志郎さんのサイン入り。

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こちらは清志郎さんがイラストを描いたフジゲン製ウクレレPupukeaシリーズの忌野清志郎限定モデル。

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CD『ウクレレ ウルトラマン』のリリース時に作られた記念Tシャツ。スタッフやアーティストたちにのみ配られた。

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こちらはCD『ウクレレ・フォース』のリリース記念Tシャツ。スター・ウォーズ好きにはたまらない1枚。

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昔つじあやのさんが個人的に作ったオリジナルTシャツ。シンプルなウクレレだけのデザインが何とも言えずいいです。

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