小江戸・川越で観る『ホノカアボーイ』
カマカは初めて東武東上線に乗りました。 |
ハワイ島の北にある小さな田舎町ホノカアを舞台にした映画『ホノカアボーイ』。吉田玲雄原作の同名本はその言葉からホノカアの人々の温もりが伝わってきて、読んでいると優しい気持ちになる本だ。それを岡田将生、賠償千恵子、松坂慶子、長谷川潤ら豪華キャストで映画化しているのだから見逃してはならない! と訪れたのは街並みのところどころに歴史を感じさせる街、川越。(なんで?)
Text & Photo : Masumi Nakajima
川越は江戸を象徴する古い寺院や神社、和と洋の文化が混ざった明治時代の建物、モダンな大正時代の建築などがところどころに存在し、懐かしさと新しさが共存する町。そんな町並みを眺めながらスカラ座まで向かうのですが、川越駅からけっこう距離があります。汗だくで歩き疲れていたところ、人力車を発見! おじさんに町案内をしてもらいながら行くことにしました。 |
新河岸川と川越街道を利用して江戸と毎日のように行き来があった川越。昔は徳川家の守りを固めた城下町だったそうで、喜多院や仙波東照宮など多数くの寺院や神社が残っています。写真は江戸時代に作られた小江戸・川越のシンボル「時の鐘」。寛永の創建からおよそ350年間、 人々の暮らしに欠かせない「時」を告げてきました。今でも1日に4回(午前6時・正午・午後3時・午後6時)、蔵造りの町並みに 鐘の音を響かせています。 |
川越スカラ座に到着! おじさんありがとう。川越スカラ座は明治38年に「一力亭」(寄席)として建てられ、昭和38年に「川越スカラ座」に改名されたそうです。2年前に一時閉館の憂き目に遭いますが、すぐに復活。川越の人々に映画を提供し続けています。 |
手書きの上映時間表。味があっていい感じ。 |
昔ながらの絨毯や椅子など、歴史を感じるな~。 |
そして映画はスタート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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ハワイ島の北、ホノカア。ここでは月に虹がかかるとき、願いが叶うという――。大学を休学した主人公レオ(岡田将生)は、かつて恋人と訪れたことのあるホノカアを訪れる。そしてひょんなことからホノカアの映画館で映画技師の助手として働くことになった。
そんなある日、レオはいたずら好きで偏屈なおばあさん、ビー(賠償千恵子)に出会う。「明日から毎日ここで晩御飯を食べていきなさい」。ビーのその一言からすべてが始まった。
おいしそうにごはんを食べる男の子。猫以外に突然現れた家族のような存在。ビーはレオの存在が嬉しかった。そんな毎日はビーを可愛くした。そんな穏やかな日々の中、レオはマライア(長谷川潤)に恋をする。マライアの存在がやがて事件を引き起こすことになるのだが……。
というストーリー。
ホノカアでレオが出会ったのは、ちょっと風変わりだけど優しい人々。出会い、恋、ごはん、そして別れ。温かいホノカアの住人たちとの交流を通し、レオは少しずつ成長していく。「人は誰かと出会うために生きている。らしい」「どうして僕たちは何かを失って、大人になるんだろう」というふたつのキャッチコピーがこの映画と、誰しもの人生に共通するものを象徴している。そしていつもホノカアの通りに座ってエロ本をめくっているコイチさん(喜味こいし)のセリフ、「年をとったからってやっちゃいけないことなんか、ないんだぜ」が印象的だった。
ビーのレオに対する感情は、恋心のような、息子への愛情のような……ちょっと複雑。その気持ちがとても可愛らしかった。年齢も人種も関係なく、人の温かな心に触れることはかけがえのないことだなぁ、とじわじわと心に沁みてきた。
古い建物が並ぶ町並み、やさしい色使いの家具、きれいな海や草原、映るものすべてがホノカアのゆるやかな空気を伝えていた。そして劇中、何気なくウクレレを弾く男の子が登場する。そのウクレレの音色はホノカアの町に流れる空気と時間を象徴するようで、映画にやさしい色付けをしていた。『ホノカアボーイ』の時間の流れと、普段私たちが過ごしている時間の流れはずいぶん違うな……。でもウクレレを弾く時って、『ホノカアボーイ』の時間に似てるかも……。ウクレレは時間の流れを変えてくれるんだよね……。
そんなことを考えていたら、7月21日創刊のフリーマガジン『ウクレレ時間』(カマカ・ウクレレ・クラブ・ジャパン・プレゼンツ)のタイトルを思いついたのでした。
とっても素敵な映画なので、映画館で見逃した人はDVD必見です。
DVD『ホノカアボーイ』(2枚組:本編DVD+特典映像DVD)
2009年9月16日発売
品番:PCBC.51619 POS:4988632502375 価格:4,935円(税込)
●本編DISC:本編+ 予告編●特典DISC:内容未定
(2009年/日本/本編111分/カラー/16:9 LB ビスタサイズ)
発売元:フジテレビジョン/電通 販売元:ポニーキャニオン
©2009 FUJITELEVISION/DENTSU/ROBOT
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