ウクレレとめぐる旅 星空ハイキング
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星空ハイキングのための準備

★用意するアイテム

【基本】

◎懐中電灯
まぶしくないように赤セロハンを貼るのがおすすめです (人の目は青い光ほど眩しく感じます)。

◎時計
時刻を知っておくのは星見の基本です。

◎コンパス(方位磁石)
星座を探すためには方角を知る必要があります。

◎星座早見盤
星座を探すための必須アイテム。時刻と方角がわかれば探せます。ただし、惑星や月は載っていないので注意。

◎ピクニックシートや折りたたみチェア
楽な姿勢で空を見上げられます。寝転がれば空が広く見えます。

◎ウクレレ
星を見ながら音楽を奏でるのは最高です。ウクレレは寝転がって弾けるほど小さくて軽いので最適。

【あるとたのしさ倍増】

◎双眼鏡
寝転がって天の川に双眼鏡を向けるだけで、宇宙に吸い込まれる気分。

◎天体望遠鏡
小型のものでも月や惑星が十分楽しめます。

◎星図・天体暦など
その時々の話題の天体、月や惑星の位置が記されたもの。

★注意点

 事前に月齢(月の満ち欠け)や月の出入りの時刻を調べておきましょう。満天の星空を楽しみたいと思っても、満月が煌々と夜空を照らしていてはせっかくの星もかき消されてしまいます。月も楽しみたいという場合は、月が夜早いうちに沈む三日月~上弦の時期を選ぶのがおすすめです。
 初めて出かける場所では早めに到着して明るいうちに下見をしておきましょう。方角やトイレの位置、観察場所周辺に危険な場所がないかなどを確認。もしものときのため、携帯電話の電波が入るかどうかも確認したほうがいいでしょう。忘れがちなのが外灯や自販機の位置のチェック。一見して好条件と思った場所も、暗くなったら目の前に明るい外灯が……とならないように。

星空ハイキングスタート!

★1 まずは自分の目で

 最初に目を暗闇に慣らしましょう。暗順応(目が暗さに慣れて星がよく見えるまで)には最低10分は必要です。暗さに慣れてだんだん星がたくさん見えるようになったら、1等星や特徴的な星の並びに注目しながら、星座早見盤と見比べて星座の形をたどってみましょう。惑星が見えているときは1等星と間違えやすく、星座がわからなくなるときもあるので、金星や木星、土星といった惑星の位置を事前にチェックしておくのが理想です。
 星座早見盤の使い方:早見盤の二枚の板を回し、日付メモリと時刻メモリを合わせる。星座図の周りにある方角のうち、自分が見たい空の方角が下にくるように持って同じ方角の空を見る。星座早見盤の中心が天頂(頭の真上)です。方角はコンパスで確認しましょう。

★2 双眼鏡を使ってみよう

 まず月に双眼鏡を向けてみましょう。月の模様(海)やクレーターが意外にくっきりと見えるものです。 まだ月が細いときは、地球に反射された太陽光の照り返しで、月の欠けている部分がぼんやりと輝いて見える「地球照」がよくわかります。夏の月は空低く見え、この季節の赤っぽい満月は「ストロベリームーン」と呼ばれます。
 次に明るい星に向けてみましょう。その星は何色に見えますか? 肉眼で見たときよりもはっきりと色がわかることでしょう。そしていろんな星に向けるたびに、いろいろな色の星があることに気がつきます。
 双眼鏡は夜露に濡れても大丈夫なように防水機能をもつのものがおすすめです。倍率は大きくなるほど見える範囲が小さくなるので、月や星を見るなら7~8倍程度のものがいいでしょう。

★3 天体望遠鏡があれば

 木星や土星などの惑星を楽しみたいなら、望遠鏡は必須アイテムです。 肉眼では明るい点にしか見えない惑星も、望遠鏡を使えばその表面の模様や周りをまわる衛星の様子も観察することができます。木星の縞模様や、ガリレオ衛星がその並びを変えていく様子がよくわかりますし、もちろん土星の環だってしっかり見えます。
 月に向ければ表面のクレーターが手に届くかのようにリアルに見えます。一つひとつ特徴が異なる個性あるクレーター、小さな山や谷といった地形をじっくり観察していると飽きることがありません。望遠鏡を通して見る星空は、肉眼や双眼鏡で見るのとはまた違った夜空の魅力を伝えてくれるに違いありません。
 初心者は鏡筒を動かせば水平・垂直方向に2軸で回転し、手を離せばその位置で静かに止まるフリーストップ式の望遠鏡がおすすめです。


夏~秋の星空を楽しもう


8月中旬午後9時頃/9月上旬午後8時頃 (東京)  提供:国立天文台

★天の川
夏と秋の季節に魅力的なのは、なんと言っても夜空を貫く「天の川」です。天の川はとても微かに輝く星の集まりがぼんやりと雲のように見えているものなので、夜空が明るいと見えません。双眼鏡で見るととても綺麗で感動します。天の川を楽しむためのポイントは次の二つです。 まずは街灯りのない場所を選ぶこと。街灯りの影響を受けない郊外で、近くに明るい照明がない場所を選びましょう。街灯などが近くにあると、目がなかなか暗闇に慣れないため、微かな星の光を見ることが難しくなります。二つめは月明かりのない夜を選ぶこと。いくら街灯りを避けても、月明かりが夜空を煌々と照らしていてはせっかくの天の川を見ることができません。満月とその前後数日は、夜空の月も明るいので天の川を見るには不向きです。また、月が何時頃沈むかも調べておきましょう。


★夏の大三角
 空を横切る天の川を切り取るように大きな三角形が頭の上に広がっています。8月には真夜中前後にほぼ天頂(頭の真上)に、9~10月になると、もっと早い時間に天頂にあります。
 天の川の中に浮かび上がる大きな十字架は、翼を広げて飛ぶ鳥の姿に重なります。これがはくちょう座です。十字架の先端、白鳥のしっぽに輝くのが、1等星デネブ。デネブから少し離れた天の川の西端にさらに明るく輝く星、これがこと座の1等星ベガ。ベガは七夕伝説に登場する織女星(織り姫星)としてよく知られている星です。ということは、天の川を挟んで反対側にはパートナーの牽牛星(彦星)がいるはずですね。向こう岸の少し南に離れたところにやや控えめに輝く星があったら、それがわし座の1等星アルタイルです。
 デネブ、ベガ、アルタイルの3つの1等星を結ぶと「夏の大三角」ができあがります。正三角形ではなくちょっと長い二等辺三角形です。

★さそり座
 夏を代表する星座のひとつです。7月下旬から8月なら夜8時頃に真南の空低く見える星座です。赤い色をした1等星アンタレスから左下に釣り針のようなカーブを描く星の並びが見えるはず。星座絵では、この曲がりくねった星の並びが猛毒をもつさそりの尻尾になっています。夜空が暗ければこのあたりにぼんやりと光る天の川を確認できます。
 夜空が明るく、さそりの形がたどれないような都市部でも、1等星アンタレスは見つけることができます。このさそり座付近は、惑星の通り道(黄道)でもあり、赤い色の惑星・火星がアンタレスの近くを通るときがあります。そのときに、よく似た真っ赤な二つの星が並んで輝いていて驚くことがあります。アンタレスという星の名前は、火星とその赤い輝きを競っているように見えるため、「火星に対抗するもの(アンチ・アーレス)」に由来しているようです。

星空にまつわる神話あれこれ

【さそり座】 ギリシャ神話で、自分の強さにうぬぼれ豪語した狩人・オリオン(オリオン座)をこらしめるために月の女神・アルテミスが差し向けた猛毒を持つさそりとされています。このさそりはオリオンを毒針の一刺しで殺してしまいました。オリオンは冬の星座ですが、天に上がった今でもさそりを恐れて逃げ回っているため、夜空でオリオン座とさそり座を一緒に見ることはないと言われています。日本の漁村では、さそりの尻尾の形を釣り針になぞらえて「魚釣りぼし」と呼ばれたりします。

【いて座】 この星座に描かれているのは、半人半馬(上半身が人間、下半身が馬)のケイロンが隣のさそりに向けて弓を引いている(射手)姿です。ギリシャ神話では、このような半人半馬をケンタウルス族と呼び、武術だけでなく、医学や音楽に長けた一族とされています。このケイロンは、名医・アスクレピオス(へびつかい座)や、勇者・ヘルクレス(ヘルクレス座)を育てた賢人でもあります。


【へびつかい座・へび座】
へびつかい座は、夏の南の空いっぱいに広がる大きな星座で、その両側に頭と尾の二つに分けられたへび座が描かれている、変わった星座です。へびつかいは、ギリシャの名医・アスクレピオスの姿です。あまりに腕が立つ医者で死んだ人まで生き返らせてしまうため、冥界の王の怒りを買い、天に上げられ星座にされてしまいました。このアスクレピオスが手にしている蛇は、古来より健康のシンボルとされています。日本でも神の遣いとされているなど、洋の東西を問わずまつられる対象となっているのは興味深いことです。


【ヘルクレス座】
大神(おおがみ)ゼウスの子で、ギリシャ神話で一番の勇者として知られるヘルクレスの姿です。人食いライオン(しし座)の退治、九つの頭を持つ怪物・ヒドラの退治など、12の冒険物語で有名です。生まれながらの怪力で、赤ん坊の頃にその怪力で母乳を吸ったためにあふれ出た乳が天を流れて天の川(Milky Way)になったと言われています。


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「星に願いを」を弾くコツ
講師:松井朝敬(Sweet Hollywaiians)


エピローグ



星空案内人・小野智子さん
国立天文台広報担当)
青森県五所川原市生まれ。東京学芸大学大学院修士課程修了(教育学修士)。1994年より公開天文台の兵庫県立西はりま天文台公園研究員、望遠鏡で見る星空の魅力を伝える仕事に従事。1998年より国立天文台 天文情報センターにて天文学の広報と普及事業に携わる。


【星空豆知識】
★地平線から昇ったばかりの月はとても大きく見えますが、目の錯覚です。5円玉を持ち腕をいっぱいに伸ばしましょう。月は5円玉の穴の中にすっぽりおさまって見えます。5円玉を使うと、月の大きさはいつも同じくらいに見えることがわかります。
★握りこぶしを作り、腕をいっぱいに伸ばしましょう。そのときのこぶしの長い方の幅が、およそ10°という角度になります。星が地平線からどのくらいの高さに見えるか、調べるときに役立ちます。
★赤道近くや南半球で見られる有名な星座「みなみじゅうじ座」。南十字星とも呼ばれます。いっぽう北半球で見られる「北十字」もありますよ。どの星座かわかりますか? 答えははくちょう座です。
★ハワイにはさそりがいないので、夏の代表的な星座であるさそり座は、ポリネシアの伝説に基づいて「マウイの大釣り針」という名前で呼ばれています。
★月が満月から再び満月になるまでの周期はおよそ29.5日。同じ月(1ヶ月間)に満月が2度見られることがあります。そんなとき2度目の満月のことを「ブルームーン」と呼びます。このときの"blue moon"は青い月ではなく、滅多にない、という意味です。
★北の空にあるひしゃくの形をした「北斗七星」。北極星を探す目印になる星の並びとして有名です。実は、南の空にもひしゃく形の星の並びがあることは意外と知られていません。こちらは「南斗六星」で、いて座の中にあります。さて、探せるでしょうか?

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