music & clulture カマカと巡るアロハのある場所
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大阪のビジネス街の一角にたたずむ、アンティーク家具やガラクタインテリアを寄せ集めたカフェバーから、なにやらウクレレらしき音色が聴こえてくるとの噂を聞きつけ、真相を探るべく行ってきました。そこで繰り広げられていた光景とは――。

Text & Photo : Masumi Nakajima

カフェの常連たちが弾きはじめたウクレレ

 「フレイムハウス」とは、大阪・北浜駅近くにある、日本のアンティーク家具やガラクタインテリアを寄せ集めて作られた、昭和の香りが漂うカフェバー。懐かしいポスターや古い置物などが店内を彩っており、なんだか妙に落ち着く雰囲気なのだ。この店の2階ではウクレレのレッスンを開催しており、講師はカマカクラブでもおなじみのSweet Hollywaiians松井朝敬さん、中山隆志さんら4人。なぜカフェバーでウクレレ? ということで店主の岩崎ミサ子さんに話を伺った。


フレイムハウスの店主であり、さまざまなイベントを企画する岩崎ミサ子さん。
 岩崎さんは1997年に会社勤めをやめて、カフェバーをオープン。夫が古物を扱う仕事をしていることもあり、おばあちゃんの家のようにほっこりとくつろげる雰囲気の店をイメージして古いインテリアを集め、店を作ったそうだ。
「フィリピンのセブ島に旅行した際、おもちゃみたいなウクレレを買ったんです。弾き方がわからずただポロンポロンと音を出していたんですが、カフェバーのお客さんだった松井朝敬さんがウクレレを演奏する方だと知って、教えてもらったんです。それがすごく楽しくて、お店のお客さんを集めて何人かで教わるようになりました」
 自然発生的にスタートしたウクレレレッスンだが、今では生徒は約120人になり、兵庫や三重からもやってくるそう。生徒たちはレッスンが終わるとそのまま店で食事をしたり飲んでいくこともあり、和気あいあいとしたウクレレコミュニティができあがっている。

カフェバーには昭和歌謡のレコードがたくさん並んでいる。
「思いがけずウクレレ教室が大きくなりましたけど、プロの演奏家の先生たちの教え方やアレンジがすごくいいので、みんなで弾くアンサンブルがとっても素敵なんですよ。先生たちの影響で、選曲はジャズが多いですね。そこが他にはない魅力だと思います。生徒さんは8割が女性です。ウクレレは手軽だしかわいい楽器だから女性がたくさん集まってくれて、店も華やぎます(笑)」

 あたたかな季節にはピクニックしながら演奏を楽しむ「青空ウクレレ」を開催。さらにイベントはウクレレだけにとどまらず、店のお客さんを集めて落語講座や健康講座などを開催したり、登山部やワイン部などのサークル活動やマラソン大会、はては「ひょうたんオーケストラ」なるものまで作ってしまったそう。とにかくカフェバーを通じて知り合う人々と日々楽しいことを企画して実践しているのだ。フレイムハウスがたくさんのイベントの発信基地となっている。それは岩崎さんの明るい性格と人柄によるところが大きい。
「私はくっつけたがりなんです。人と人、人とモノのジョイントのお手伝いをすることが好きなんですよ。ウクレレ教室の生徒さん同士で結婚したカップルもいますよ(笑)。そういうのって、嬉しいですよね」


ギャラリースペースもあり、取材時は「ネコ展」を開催中。イラストや木版画、油彩画などさまざまなアーティストたちの作品が壁を彩っている。
 この日はウクレレ&ピアノ発表会を明日に控え、午後から次々と生徒さんたちが店にやってきた。講師の松井さんと中山さんそれぞれが教えるクラスの練習を拝見したが、みなさんなかなかの腕前で、楽しいアンサンブルを聴かせてくれた。そしてやはり大阪、レッスン中のトークも楽しい。いい音楽を自ら奏でる喜び、それを分かち合う楽しい仲間。忙しいビジネス街の一角にたたずむフレイムハウスには、仲間たちのゆるやかな時間が流れていた。

明日の発表会へ向けて最終練習。みなさん顔が真剣です。


Shop Data
フレイムハウス
大阪市中央区淡路町1-6-4
TEL 06-6226-0107
URL http://www.katana.cx/~fureimu/
営業時間 ランチタイム11:30〜14:00
(月〜金)/バータイム17:30〜23:30
(月〜土) 定休日 日曜・祝日

ウクレレレッスン
初心者クラス:3ヶ月間全6回(10名までのグループ、60分レッスン)/年間4回募集。次回は7月から始まる水曜18時〜、21時〜の2クラスで、20人を募集。
中級クラス:月2回(2〜10名までのグループ、60分レッスン)
講師は初級・中級ともに松井朝敬、中山隆志、坂田慶治、新納悠記。詳細は上記ウェブサイトを参照してください。

フレイムハウスの名物、昔懐かしハヤシライスはクセになる美味しさ。ぜひ一度お試しあれ。

そしていよいよ発表会


会場となった大阪市中央公会堂は大阪の重要文化財。
 堂島川と土佐堀川に囲まれた中之島公園には、明治・大正の面影を残す重厚な歴史建築がいくつも立ち並んでいる。そのなかでもとりわけ目を引くのが赤レンガの壁に青銅のドーム屋根が美しい大阪市中央公会堂。1918年から現在までコンサートやオペラ、講演会などが次々と開催され、大阪の文化の発信地となってきた場所だ。5月15日(日)、12回目を迎えたフレイムハウスの発表会は中央公会堂の一室で行われた。

ミュージシャンの先生方がギター、ベース、ピアノで参加し、生徒たちの演奏をサポート。
 木の温もりに包まれた、ノスタルジックな雰囲気の会場にウクレレのあたたかな音色が響く。司会は落語家の桂蝶六さんで、演奏の合間に笑いをもたらしてくれる。そんなところが大阪らしくてすごくいい。プログラムには出演者の名前が一人ひとり書かれており、名前の後ろには紅白歌合戦よろしく出場回数まで書かれている。気の利いた細かな演出が楽しいのだ。
 各クラスの発表曲は「君微笑めば(When You're Smiling)」から始まり、「小象の行進」、「Somebody Stole My Gal」、「星に願いを」、「第3の男のテーマ」などジャズのスタンダードナンバーや映画のテーマソングが目立つ。ウクレレイベントといえば通常はハワイアンやポップスが多いのだが、きっと講師の先生たちの影響だろう、粋な選曲が新鮮でいい雰囲気を醸し出していた。

 

会場の外で「ルパン三世のテーマ」を練習していたカマカガールズ。

イーグルスの「Take It Easy」をウクレレで披露 したみなさん。

「雨にぬれても」のみなさんは懐かしい日本の風習、てるてる坊主の衣装。

ボンドガール風に「ジェームスボンドのテーマ」を演奏したガールズチーム。

ギリシアの明るい太陽を連想させる名曲「日曜はダメよ」を聴かせてくれた5人組。
岩崎さんも「You'd Be So Nice To Come Home To」でジャズボーカル&ピアニカを披露。
会場にいる全員でナット・キング・コールの大ヒット曲「L-O-V-E」をプレイ。

発表会はウクレレだけでなく、ピアノの演奏もあったのだ。


最後は講師たちによる演奏でみんなが盛り上がりました。

 きちんとアレンジされた曲の数々は、演奏する自分たち自身が楽しみながらも人に音楽を聴かせるということを意識しているように感じた。そして自分のクラス以外の演奏にもちゃんと耳を傾ける。そうすることでまた仲間が生まれ、フレイムハウスのウクレレコミュニティは広がっていく。
 発表会を終えた岩崎さんは「みなさんに喜んでもらえて嬉しいです。昔習っていた人が見に来てくれたりもして、人と人はずっとつながっていけるんだと実感しました。これからも長くみんなでウクレレを楽しんでいきたいです」と話してくれた。




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