musician's talk ウクレレを愛するミュージシャンへのインタビュー
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Vol.2 アロハ・スピリットを伝えるという使命

sekiguchi


――お母さん以外の先生からもフラを習いましたか?
「たくさんの先生から習いました。11歳の頃からカメハメハスクールに通い始めましたが、そこにはたくさんのフラの先生がいたんです。長い間メリー・モナーク・フェスティバルの審査員をなさっていたウェイン・ケアヒ・チャン、ランディ・フォン、ホロウア・スタンダー、カレオ・トリニダッド、スノウバード・ベントーなど、彼らに習うことによって、よりフラにのめり込んでいきました。母に『多くの先生から習って、あなたの踊りの地平線をどんどん広げていきなさい』と言われたんです。母がいつも言っていたことわざは『'A'ohe 'ike i ho'okahi h(すべての知識をひとつの学校で学ぶことはできない)』というもの。いろんなところでいろんなことを経験してきなさいという教えでした。私はカムエラというハラウで習ったし、姉たちはまた別のハラウで習っていました。私がカムエラを選んだ理由は、初めてメリー・モナーク・フェスティバル(ヒロで行われる、最も権威があるとされる伝統的フラ・コンペティション)を観たときに、カムエラのステージがとにかくゴージャスだったから。私に合ったスタイルだと思いました。母のハラウはエンターテインメントがメインで、コンペティションには出ないハラウだったんです。ショーとコンペティションは全然違うんですよ。ショーは楽しく元気に、一人ひとりのダンサーを綺麗に見せるよう構成しますけど、コンペティションはフラの伝統に忠実に踊ることが最も重要なんです。でもコンペに挑戦したいという気持ちを母は応援してくれました」

――アリアナさんにとって、フラを踊ってきたなかでのターニングポイントは?
「13歳の頃、初めて海外のステージで踊ったんです。母が海外でハワイへの旅行をプロモートするという仕事でタイに行きました。母が活躍する姿を観たり、自分も外国人の前で踊るという経験が私を変えました。もっと踊りたい、もっと練習したいという気持ちになったんです。『これが私のやりたいことで、これが私の仕事だ!』とその時にわかったので、常によりいいものを見せていく努力をし続けるという覚悟ができました。楽しいことや美しいものを人に提供したり、踊りで愛を伝えることの素晴らしさに気づいたんですね。それ以降はフラを作品として高めて、世界中の人に見せたいという欲求がどんどん出てきました。舞台に上がると自分は喜びの気持ちだけになるし、見てくれる人たちにいいものをあげたいと思って踊っています」

――フラを学ぶうえで一番大切なこととは?
「好きであること。ウクレレも、どんなことでもそうでしょうけど、まずはそれを愛する気持ちがないと上達しないんじゃないかな?」

――では踊って人に見せるうえで一番大切なことは?
「笑顔です。有名なダンサーになると、ビギナーのダンスは退屈だから見ないという人もいますが、私はビギナーたちの踊りを観るのも大好きなんです。楽しそうに踊っている姿や笑顔を観ていると、自分も嬉しくなるし元気になります」


――ハワイには笑顔が素敵な人が多いですよね。アリアナさんはベリーダンスやジャズダンスも踊るそうですが、ほかのダンスと比べてポリネシアンダンスの魅力とは?
「私はポリネシア人なのでポリネシアンダンスは私の一部なんですよね。ルーツや伝統、祖先たちと、踊ることでつながるチャンスをいただいているんです。ポリネシアンダンスは私のカルチャー・アイデンティティですから、ほかのダンスを踊る時の気持ちとは全然違いますね。ダンスにはそれぞれの魅力があるので、ほかのダンスは単純に楽しいから踊るし、ダンサーとして自分を高めるために踊ったりもします。それに生徒になることを楽しんでいます。ポリネシアンダンスだと教えることがほとんどなので、いろんなことを考えなきゃいけないけれど、他のダンスは教わりながら楽しんで踊っています」

――ではフラやウクレレなど、ハワイアン・カルチャーの一番の魅力はどこにあると思いますか?
「穏やかになれるところだと思います。ピースフルでリラックスできる。フラを見るだけでもリラックスできるし、包まれているような気持ちになるでしょう? そもそもハワイ語がとてもやさしい響きの言語なんです。意味がわからなくても聞いているだけでソフトな言葉だと感じると思います」

――ウクレレの音色も同じですよね。穏やかになれる。
「その通り! 人の心を慰めてくれるようなウクレレの音色が大好きです。ダンサーは自分が上手には弾けなくても音楽のことをよく知っていなければなりません。テンポやストラムの仕方、曲の構成などを理解できないと、その曲を踊りきることはできないんです。だからダンサーもウクレレを弾いたりしてハワイアンミュージックをより深く知ることや、ハワイ語の歌詞を深く理解することが大切なんです」

――ハワイを代表して多くの国でハワイの魅力を伝えているアリアナさんですが、その際にいつも伝えようと心掛けているのはどんなことですか?
「ありきたりな答えかもしれないけど、アロハ・スピリットです。今ここにいる嬉しい気持ちを分かち合うこと。ALOHAという言葉はALO=シェアすること、HA=呼吸という意味なんです。呼吸とは生きていることそのものだから、生きる喜びを分かち合うということがアロハ・スピリットなんです。そういう気持ちで人と接したりフラを踊っています」

――では日本や日本人の好きなところは?
「日本、大好き!! 日本の文化とハワイの文化はとても似ています。15歳のときに初めて日本に来ましたが、日本人はすごく私に似ていると思ったんです。みんないい人だし、助けようとしてくれる。自分が助けられない時は、助けられる人を見つけようとしてくれる。それに自然、伝統、家族を大切にするところがハワイアンと似ていると思います。あとお祭り好きなところ(笑)。何かにつけてすぐにお祝いをするところも似ていると思います」

――今後やっていきたいことは?
「ここ何年か「カ・ナニ・オ・ハワイ」というショーをプロデュースしてきましたが、今後はヨーロッパなどでも公演をしたいと思っています。ハワイという小さな島のことは世界中のみんなが知っているけれど、ハワイアンミュージックを聴いたことがない、フラを見たことがないという人はまだまだたくさんいるんです。そういう人にもハワイアン・カルチャーの素晴らしさを知ってもらいたいです」

インタビュー後、リクエストに応えてフラを踊ってくれたアリアナ。そのやわらかく美しい動きがハワイの空気をふわりと運んでくるような、素敵な時間だった。






















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