Vol.1:
アンサンブルが第一でたまに光るソロ、が自分流。
4つの弦が生み出す特別な音
――ブライアンがウクレレに惹かれたキッカケはなんだったんですか?
「10歳くらいの頃、母がウクレレを持っていて、いつも弾いていたんです。だからウクレレの音を初めて聴いたのは、母が弾く音だったと思います。小学校5年生の頃には学校でウクレレのクラスがあって、それから弾くことが楽しくなったんです。よく聴いていたのはオータサン、エディ・ブッシュ、ジェシー・カリマなどハワイの有名なウクレレ・プレイヤーたち。なかでも一番好きだったのがサンズ・オブ・ハワイのエディ・カマエのスタイルでした。その後もサンディ・マノアのピーター・ムーンなどのプレイを聴いたりして、そういうすごいミュージシャンたちのプレイから、自分も弾いてみたいと、演奏することに興味を持ったんです。そしてウクレレは手軽な楽器だから簡単にスタートできたんですよ」
――人前でプレイしたのはいつからですか?
「高校生の頃に真剣にやり始めて、バンドを組んでパーティーで演奏したりしていました。と言ってもプロではないのでお金をもらって演奏するのではなく、その代わりに食事をごちそうになったりしていました」
――ギターなどほかの楽器には興味が行かなかったんですか?
「もちろんギターにも興味を持って弾いたし、今も多少は弾けるけど、ウクレレの音は特別なんです。この4本の弦から生まれる音にすごく心が惹かれます」
――ギターにはないウクレレのチャームポイントとはなんですか?
「ウクレレにはハイGとローGのチューニングがあるけれど、ハイGにはウクレレだけが持つ音の混ざり合いがありますよね。これはギターには出せないもの。ハイGであることによって、ほかの音との絶妙なバランスが生まれるんです」
求めるウクレレ・スタイルとは
――自分が「プロになりたい」「プロとしてやっていける」と思ったのはいつだったんですか?
「あまりプロとアマチュアのはっきりした境界線はないんです。パーティーなどでお金をもらいながら演奏を始めてからも、プロとしての意識はあまりありませんでした。ただ、その後1983年にウィローズというハワイアン・レストランで、クリス・カマカたちとサイド・オーダーというバンドで演奏したんですが、それが自分のなかで初めてプロとしての意識を持った演奏でしたね」
――自分で曲を作ったり演奏したりするうえで、伝えたいことや表現したいことはどんなことですか?
「ウクレレ・プレイヤーとしていろんな人と一緒に演奏するうえで僕が一番大切にしていることは、まわりにいるギターやベースなどほかの楽器にマッチするウクレレを弾くこと。ソロを弾くときはキメるけど、それ以外はあまりウクレレの音が前に出過ぎないで、全体の調和が大切だと思っています。でもソロを弾いたときにはキラリと光るプレイをする、そのバランスを考えながら弾くのが自分のやり方です。目立つことはあまりしたくないけれど、要所要所でウクレレの音を聴かせたいんです。ウクレレはいろんなスタイルで弾ける楽器です。たとえばジェイク・シマブクロみたいに1本だけで激しくソロを弾き続けるスタイルもあれば、カペナのケリー・ボーイ・デ・リマのように歌いながらソロを弾き続けるスタイルもある。僕が見せたいのはヴォーカルのバックでバンドの一員として全体と調和しながらもキラリと光るウクレレ・ソロがあるスタイル。でもワークショップで人に教えるときは、自分のスタイルを押し付けるのではなく、それぞれに合う弾き方を見つけられるよう、いろんなスタイルを見せてあげるようにしています」
――どうやってウクレレを練習したんですか?
「自分は楽譜を見ないで、耳を使ってウクレレを演奏します。耳で聴いて習ったし、自分の曲も楽譜にはせずに耳で覚えています。だから決まったコードだけを弾くのではなく、自分で勝手に作ったコードを鳴らしたりするんです。まわりのミュージシャンからは『そのコードなに?』ってよく聞かれるんですけど、自分は音がいいからただ鳴らしているだけなんです。そういうスタイルでやっています。やっぱり自分にとっては耳で聴くことがすごく重要だったし、習うときも当時のミュージシャンの演奏を目でよく見て耳でよく聴いて、それを再現してきました」
――アレンジする際、アンサンブルのなかでどういうときに「ここにウクレレの音がほしい」と思うんですか?
「まず一つは、ギターの方が音域が広いので、ギターがローの方で弾いている場合はウクレレでハイの方を弾いてウクレレの音を際立たせるんです。もう一つはコードの選び方。CとFとG7を弾いているところで敢えてナインスとかジャズコードみたいにテンションが利いているコードを挟み込むことで、ウクレレの音が前に出てくるんです」
――なるほど、音の間を埋めるというか、オブリガード的に入れていくんですね。
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