ビルが日本に到着した2日後、レセプションが開かれた。日本でのライヴの成功を祈り、この日は関係者や取材陣が集まった。レセプションとは言っても、実際はビルのライヴだ。何を語るよりもビルの演奏を聴いてもらうことが一番だろうという関口和之の想いが込められている。そう、今回ビル・タピアを日本へ招いたのは彼なのだ。ビルが愛用しているライマナ・ウクレレのビルダーであるライマン・アシカワの紹介で知り合い、「日本に行って毎晩でも演奏したい」というビルの熱意を知った関口は、その願いを絶対に叶えようと思ったという。
関口の挨拶でパーティーはスタート。
「ビルは101歳と言えど精力的で、今回のジャパン・ツアーのスケジュール表を見せたら『この日は空いているじゃないか!』と言われまして……(笑)。毎日でも演奏したいそうです。今日は何よりもビルさんの演奏を聴いていただきたいと思います」
そしてビル・タピア登場。マネージャー兼ギタリストのパット・エノスとともにさっそく演奏を始めた。
「Ukulele Man」などのオリジナル曲に加え、エディ・カマエの「E Ku'u Morning Dew」など数曲を披露するビル。101歳とは思えないそのプレイに観客からは大きな拍手とともに驚きの声が上がった。関口のリクエストで「Young at Heart」も聴かせてくれた。
ウクレレという楽器が誕生して間もなくウクレレを弾き始めたビル。その彼が今この日本でウクレレを弾いているということに驚きと喜びが湧き上がってくる。90歳を過ぎてからウクレレをプレイしたCDを3枚リリース。2009年は5月のニューヨーク・ウクレレ・フェスティバル、7月のハワイ・ウクレレ・フェスティバルへの出演もこなし、このジャパン・ツアーに臨んだ。そのバイタリティはどこから生まれるんだろう。
目の前で演奏するビルの音楽と言葉、そして艶やかな笑顔に、これからのジャパン・ツアーは間違いなく成功するだろうと確信した夜だった。
LYMANA Bill Tapia Model
ビル愛用のテナー・ウクレレ。オアフ島のウクレレ製作家ライマン・アシカワがビルのために製作したカスタム・モデル。0フレット仕様でピックアップを内蔵。 |
ビル・タピア(中)、関口和之(左)、ビルのマネージャー兼ギタリストのパット・エノス(右)。 |
日本での担当医であるネリアス深井志保先生とともに。なんと彼女は男性の老いやアンチ・エイジングについて研究しているそう。 |
Text:MASUMI NAKAJIMA(RAVEN WORDS'WORKS)
Photo:YASUHIKO ROPPONGI(OFFICE SIXX)
Design:TARO WATANABE(77GRAPHICS)
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