「ハワイアンだけがウクレレ・サウンドではない!」というコンセプトのもと、常識や型にとらわれずにウクレレの楽しさを広く伝えるイベント、ウクレレ・スーパージャムは今年で5回目。豪華出演者それぞれの演奏に加え、今年はなんと、オータサン×ハーブ・オオタJr.の貴重な親子共演が実現しました。東京&大阪の2公演のうち、5月23日に行われた東京・ヤクルトホールでの模様をお伝えします。
ウクレレ・スーパージャムとはウクレレ・ソロからオーケストラまで、ハワイアンからクラシックまで、形式やジャンルにこだわらず、ウクレレを軸にさまざまな音楽を体感するイベント。5回目を迎えた今年も日本のミュージシャンに加え、ウクレレの本場ハワイやカナダからもゲストを迎え、多彩な音楽を楽しむことができました。一口にウクレレと言っても、いろいろあるんですね。
時を超えジャンルを超えて進化する
ウクレレの世界を体感する空間
ウクレレ・スーパージャム企画制作
トゥモローハウス
纐纈史子さん
「ウクレレはボディが小さく、4弦しかないため音域も狭く、音楽的な限界があるように思われがちです。ところがウクレレはその小さなボディに大きな可能性を秘めていて、音楽性も時代とともに常に進化しているんです。ウクレレ・スーパージャムは、ウクレレという楽器を多次元で見つめ、さまざまな楽しみ方を伝えていくイベントです。1回目はハワイアン・ミュージックだけでしたが、その後はウクレレ誕生の地ハワイはもとより、日本やカナダといったウクレレ愛好家の多い国から個性的なプレイヤーを招待してきました。カタチやジャンルにこだわらない自由なウクレレの姿を体感する空間なので、コンサートというよりも“フェスティバル”として、お客さんも参加しながらみんなで楽しんでほしいです」 |
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オープニング・アクトは2007年の“ジ・ウクレレコンテスト”でグランプリに輝いたデイジー☆どぶゆき。ハイテンションなデイジーさんとローテンションなポマードマン(ベース)のコンビネーションが可笑しい。 |
スーパー高校生プレイヤーの平井大はギタリスト渥美幸裕と共演。オリジナル曲に加えノラ・ジョーンズの「Don’t know why」やグローバー・ワシントンJr.の「Just the two of us」などを披露。二人のグルーヴ、かなり気持ちいいです。 |
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笛吹奈保子は鈴木祐輔(スラック・キー・ギター)、安井希久子(パーカッション)とトリオで登場。カマカ・ウクレレの温かな音色に乗せた伸びやかで迫力のある歌声がスバラシイ! 故忌野清志郎さんへ「Daydream Believer」を捧げた。 |
ウクレレ・スーパージャム最多出場者のハーブ・オータJr.は自分の部屋でウクレレを弾いているかのようなスタイルで、繊細で温かなプレイを聴かせてくれた。「ジュニアさんのウクレレを聴くと眠くなる。それもまたウクレレの魅力」という司会者纐纈さんのコメントにつくづく納得。 |
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ウクレレとアコギのインスト・アコースティック・デュオ、フラリー・パッド。オリジナル曲に加え、GReeeeNの「キセキ」などJポップのカヴァーも得意とする彼ら。軽快でリズミカルなプレイで会場を沸かせた。 |
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会場にはたくさんのブースが並び、ステージの合間はお客さんで大賑わい。ウクレレ・メーカーはもちろん、上左はイベントTシャツ、右はフラリー・パッドもTシャツを愛用中のALTER EGO、左はカマカとマーティンのブース。 |
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仲良しマーチン君とカマカちゃん。 |
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カナダから2年ぶりの来日となるジェームス・ヒルはチェリストのアン・デヴィソンとともにウクレレとチェロの美しいコンビネーションを聴かせてくれた。 |
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箸で弦をこすったり、パーカッションのように叩いたり、ウクレレという楽器の可能性をとことん追求するジェームス。この箸のプレイは、たまたまウクレレの上にペンを落とした際の音が良かったため、それから1年ほど研究したそう。 |
みんなが待ち望んだオータサンのプレイ。当の本人はあいかわらず何の気負いもなく、独特の「間」で冗談を連発。でもこの人が演奏すると、やっぱり場の空気が変わるんです。観客はその指先をじっと見つめ、奏でる一音一音に聴き入っていた。 |
今回最大の注目を集めたのが、オータサンとハーブ・オオタJr.による日本初の親子共演。息の合ったプレイでワイピオ渓谷を舞台にしたラブソング「Hi’ilawe(ヒイラヴェ)」と「コンドルは飛んでいく」の2曲を披露。 |
その後ジェームス・ヒルと平井大も参加し、スーパー・ウクレレ・プレイヤー4人が揃った。それぞれのスタイルで順番にソロを弾くステージには目が釘付け。 |
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最後はオール・キャストでワークショップ。観客は各々持参したウクレレを手に「Take me home country road」を合奏した。 |
ハワイアンからジャズ、ポップス、前衛までさまざまな音楽を、いろんなスタイルのウクレレで聴くことができ、あっという間の4時間でした。ウクレレという小さな楽器の奥の深さを実感した時間だったし、ウクレレの可能性はまだまだ広がっていくに違いありません。それを肌で感じることができるウクレレ・スーパージャム、今後も楽しみです!
Text:MASUMI NAKAJIMA(RAVEN WORDS'WORKS)
Photo:YASUHIKO ROPPONGI(OFFICE SIXX)
Design:TARO WATANABE(77GRAPHICS) |
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