2012年7月28日(日)
at 横浜赤レンガ倉庫パーク
ギネス世界記録が生まれた
ウクレレピクニック2012
日本最大の野外ウクレレ・イベント、ウクレレピクニックが今年も横浜赤レンガ倉庫広場で開催されました。これまでに引き続きウクレレ・ラヴァーズやプロミュージシャンたちの演奏に加え、今年は「多くの人々が一緒にウクレレで曲を演奏する」というギネス記録に挑戦しました。みんなの熱い想いがひとつになった瞬間をレポートします。
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左から関口和之さん、カマカ・ファミリーのクリストファー、クリス、ケイシー、勝誠二さん。 |
風物詩とは、ある季節特有の自然現象、味覚、生物など、その季節をより意識に特徴づける物や事柄のこと。ウクレレ・ファンにとってまさに夏の風物詩となっているウクレレピクニックが今年も横浜赤レンガ倉庫で開催されました。会場にはウクレレメーカーをはじめとする数多くの物販ブースや飲食ブースが立ち並び、ステージは海を背景としたメインステージに加え、リゾート感満載の砂浜のステージも作られています。両ステージで全国から集まったウクレレ・ファンやフラ・ファンが多種多様なプレイやダンスを披露していきます。
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本番前に練習するケイキ・ウクレレ・オブ・ジャパンの子どもたち。 |
猛暑にもかかわらず、観客はステージを眺めたり、ブースでウクレレを弾いたり、大きなかき氷をほおばりながらトークショーを聞いたりと、アクティブに動き回っています。この日のサイン会やPRのためにハワイからやってきたカマカ社のケイシー・カマカも「日本の暑さとウクレレ・ファンの熱さには驚かされるよ」と言います。たしかにどんどん人が集まってくる会場を見渡すと、この小さなウクレレが、こんなにも多くの人を魅了しているんだとあらためて実感します。このイベントの醍醐味はアマチュアもプロのプレイヤーも同じステージで演奏すること。家族や友達とその感動や楽しさを共有することがテーマです。それはイコール、ウクレレという楽器の醍醐味であり、テーマでもあるのです。
今回のメインイベントは、多くの人が一緒にウクレレで演奏するギネス記録への挑戦。これまでの世界記録は2011年8月にスウェーデンで行われた1547人。今回のテーマ曲はKONISIKIの「Aloha Mahalo , A Hui Hou」で、ウクレレピクニックの公式ホームページ上で曲が紹介され、参加者は当日までにコードを練習して臨みます。参加人数を正確に把握するため、一旦観客は会場の外に出されます。参加者の長蛇の列が作られ、列の頭から徐々に入場しますが、すべての参加者が会場内に入るだけで1時間以上が費やされました。集まったのは2000人を超えています。ただ、これで記録達成ではありません。弾いていない、もしくは弾けていない人が全体の5%を上回ると判定されれば失格となります。全員がきちんとウクレレを弾いているか判定員たちがチェックするなか、みんなの演奏が始まりました。
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ギネスに挑戦中! スクリーンにコードが映し出されます。 |
会場を撮影するためステージ向かいの櫓の上から見ていましたが、2000人以上が一斉に同じ曲を演奏し、歌う。まさにみんなが心をひとつにした瞬間でした。後ろから見ていた私にもそれはありありと伝わってきました。ストロークがぴったりと合い、一体化しています。そしてひとつになったエネルギーは言葉にならないほどの感動を生みだしていたのです。弾き終わり公式判定員の発表を待つ――。結果は2134人による世界記録達成! ガッツポーズを掲げたみんなの笑顔はキラキラと輝いていていました。
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ギネス新記録達成の瞬間。緊張の表情から一気に笑顔に変わりました。 |
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イベントの主催者であるデビットさん。認定書を掲げて感無量。 |
主催者のデビッド・スミスさんはこう語ります。
「13年間続けてきたウクレレピクニックで、目標にしてきた理想の空間でした。ウクレレメーカー、アーティスト、プロアマ、販売店、スクール、大人子供、家族、同僚、上司、国籍、男女、社会的地位などの壁を取っ払い、みんなで一緒に1曲を共有した感動の時間。ステージの上からも感動して鳥肌がたちました。何年ぶりだろう、こんな気持ちになれたのは……。ギネス世界記録よりも、ウクレレで素晴らしい経験ができたこと、日本でウクレレ・ラヴァーズのみなさんと伝説のライヴを共有、共感できたことは、この夏の、いや、人生の最高の思い出となりました」。
夜は日本の代表的ウクレリストやハワイのミュージシャンを招聘したスペシャル・ライブがメインステージで繰り広げられましたが、今回もっとも印象的だったのはクリス・カマカとクリストファー・カマカによる親子共演の「Somewhere Over the Rainbow」。ハワイのレジェンドIZの代表曲です。ピックアップを使わない2本のウクレレによるやさしいサウンドに、クリスのやわらかな歌声が重なります。ステージの上には綺麗な月が出ていて、昼間の暑さを忘れさせる風も吹いています。身体からすべての疲れが抜けていくような、心底癒される音楽で、知らずしらず涙がこみ上げました。ウクレレという楽器が持つ本当の力を肌で感じた瞬間でした。
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クリス&クリストファーのステージ。心に沁みわたる声とサウンドは圧巻でした。 |
今年で13回目を迎えたウクレレピクニックでしたが、たくさんの人がウクレレでひとつになった今回は、大きな節目となりました。これからもみんなでウクレレを弾きながら、感動や楽しいことをより広く、より深く、共有できたらいいですね。
Text & Photo:MASUMI NAKAJIMA
Design:TARO WATANABE(77GRAPHICS)
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