musician's talk ウクレレを愛するミュージシャンへのインタビュー
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Vol.2 ウクレレを弾いているだけじゃダメ!?

sekiguchi

女性のために歌い、子供のために歌う

「タクシー・スタンドでの演奏でステージ・デビューをした後、ひとりのウクレレ・プレーヤーと出会った。彼の名前はショーイ・イケミ。息が合ったので二人でウクレレ・ユニットを結成した。『ウクレレ・ラスカルズ』という名前でね。それからはプロとして数々のステージをこなしたよ。ホノルル警察のベネフィット・コンサートでは5回もアンコールを受けた。それからというもの、ポリスにはいつもよくしてもらえたからラッキーだったな」

――そのバンドを後に辞めるエピソードを本で読みましたが、おかしかったです。演奏のし過ぎで大事な爪が割れてしまって、もうツアーはやめだ、という……。
「あー、そうだ。その後、私は女性が行くサロンに通うようになったんだ。目的は付け爪だ。知り合いの女性がサロンをやっていて、付け爪をつけることを勧めてくれたから。初めは恥ずかしかったよ、店に入ると客の女性たちが不思議そうに見るからさ。『エディー、気にしないで入ってらっしゃい!』って言われてやっと入れた。それからずっと付け爪だよ」(といって見せてくれた指先にはきれいな付け爪が)


――あなたが使っているウクレレについて教えてください。トレードマークのダブル・ホール・ウクレレ、あれはどこで手に入れたものですか?
「ホノルルに楽器店をやっている友人がいてね、彼はギター職人なのだが、店に行ったときにブラック・コアのいい木があってね。その木でギターを作るつもりだったようだが、私のためにウクレレを作ってくれと頼んだ。ウクレレなら3本作れるというから、3本お願いした。2本はバリトン、1本はサイズもシェイプもオリジナルのカスタムだ。自分の声に合わせたチューニングができるようにな。私のウクレレのチューニングはホール・ステップ(1音)下げてあるんだよ。あれは1970年だった」

――ということは、もう40年使っているんですね! 今も問題ないですか?
「時々アンプ用の電池と弦を新しいのに交換してやるだけで、まったく問題ない」

――このカマカは?
「カマカとは昔から仲良くしているから、何本も持っているよ。何か新しいものができると連絡してくれてね、『エディー、10弦ウクレレを作ったけど見てみないか?』っていう具合に。そんなわけで10弦ウクレレも8弦ウクレレも持っているよ。どれもいい音を出してくれる。レコーディングにも使用した。ソロを弾くにはやはり4弦がいいがね」

――ウクレレを何本お持ちですか?
「今は10本かな。すべてカマカとマーティンだ。マーティンが15ドルだったことは言ったな?」

――はい、それは当時としては高かったのですか?
「いや、15ドルは安かったよ。当時カピオラニ・パークでウクレレ・コンサート・イベントがあってね、私もそこで演奏したが、それからハワイでのウクレレ人気が高まって、値段も上がってしまった。みんながウクレレを弾きたがったんだ」

――昨夜のコンサート(UKULELE LEGENDS IN CONCERT)のステージで、オータサンもあなたからウクレレを教えられたとおっしゃっていましたが、ウクレレを教えることもしていましたか?
「いや、私は案内(ガイド)はするが教え(ティーチ)はしない。それも本気でやっている者だけにだ。ある程度“案内”をしたら、あとは自分で楽しめ、というのが私のスタイルだ。若いウクレレ弾きに私が“案内”するもうひとつのことは、歌うこと。女性に好かれるためには女性に向けて歌うのが一番さ。その人に歌を書いてあげるんだ。ウクレレをただ弾いているだけじゃだめだ」

――(笑)なるほど。そしてそれがあなたが歌を歌う理由なのですね?
「その通り。私もはじめは恥ずかしかったものだ。ただうつむいてウクレレを弾くだけだったからな。観客のことを見ることもできなかった。緊張してしまうから。でも演奏しているとな、ハワイアンの年配の女性客が私のところに来て『歌を歌っておくれよ』と言ってきたりするんだ。いや、歌は歌わないんです、って初めは断っていたけど、ある日恩師(前出のプクイ女史)に相談したら、あなたは歌うべきだ、って言われた。目上の女性の言うことは聞かなければいけない、ってな。前にジェイク・シマブクロと話したときもな、同じことを彼に言ったよ。女性のために歌えって(笑)」

――彼のリアクションは?
「笑ってごまかされた(笑)。彼の演奏が私は好きだが、やはり歌が大事だと思うから、はっきりと言ってあげるのさ」

 
エディーが愛用しているコンサートサイズのカマカ。1969年末〜1973年製と思われる。トップはスプルース、ブリッジはピンタイプ、ボディやサウンドホール周りのバインディングも珍しい仕様。   こちらはエディーのソプラノサイズのカマカ。2003年製のマホガニーネック。14フレットのカマカウクレレは生産年数が約1年と短く、数もそれほど多くない。


――ではあなたが歌うハワイアン・ソングの中で、特に好きな曲を教えていただけますか?
「たくさんあり過ぎる。困ったな。あえてあげるなら、『アヘ・ラウ・マカニ』かな」

――リリウオカラニ女王の作品ですね。
「そう。あの曲にはスパニッシュなイントロがとても合っていて、ウクレレでそれを弾くのがいい感じなんだ」
(と言ってパララ・パララ・パララララララ♪と口ずさむ) 
「8分の6拍子のリズムがまたいいんだ」
(ヘ・アラ・ネイ♪エ・マプ・マイ・ネイ♪と歌いだす)
「曲を面白くするのも、演奏で大事なのも、リズムとビートだ」

――では今後どんな歌をやりたいと思っていますか?
「さっき言ったように女性に歌うことも大事だが、子供に歌うこともまた大切だ。子供は宝物だ。絶対に拒絶なんてしてはいけない。ウクレレで童謡を歌ってあげると子供が笑顔になる。そんなとき喜びを感じるんだ。ウクレレで歌う童謡のアルバムをレコーディングしようと今、本格的に計画中だ」

――それは素敵ですね。癒されそうです。ウクレレのセラピー効果も大発揮ですね。
「そう、ウクレレはセラピーそのもの。わたし自身も、よく物思いにふけるときはウクレレを抱えているよ。ウクレレは心を穏やかにしてくれるし、孤独な時間も癒してくれる。15年くらい前だったかな、妻がイギリスに旅行に出かけていて、ひとりで10日間くらい留守番をしたことがあった。初めの数日は良かったが、それからとても妻が恋しくなってね、夜明け前に目が覚めてしまって、ウクレレ弾きながら妻への想いを歌う歌ができあがっていた。『マイ・ダーリン』という歌なんだ。旅行から帰った妻に1度だけ歌って聞かせたら喜んでくれたよ」

――素敵ですね。それでは最後に日本のウクレレ・ファンにメッセージをお願いします。
「ウクレレが好きなら、楽器を愛して、楽しむんだ。楽しくなければ意味がないから。そして、子供に歌ってあげることを忘れないでくれ」

カマカ・ウクレレ・クラブ・ジャパンのイメージキャラクター、カマカちゃんと笑顔のツーショット。





















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